3Dプリンタで名前ハンコを作る際の調整覚え書き (TPU使用)
この時代にもハンコが必要になる場面がある。
とある事情で名前ハンコが必要になったが、楽天を見ると大きさ違いで数種入って3-4千円するらしい。
折角なので作ってみたが、少し調整が必要だったのでどなたかの参考になればと思い、書き置いておくことにした。
ハンコ部分はTPUフィラメントを用い、柔軟性を持たせ、取っ手部分はPLAで作る事にした。 私が持っているTPUフィラメントはFlashforgeの物↓であるが、特にメーカーは問わないだろう。
モデリング
今回サンプルとして作ったのは「やまだ たろう」の 5 mm × 25 mm の名前ハンコ(ちなみに私は山田太郎ではない)。文字は一文字 4 mm角ぐらいだが、これぐらいが最少限界な気がする。スライサーで確認すると、3Dプリンタのノズル一筆書き分である。
Fusion360でモデリングした。文字と取っ手に貼り付ける台座部分の厚さが肝で、文字部分を1 mm、台座部分を5 mmにしたところ反りにより上手くいかなかった(何で反るのかは後述)。
よって、文字の浮き上がり 2 mm, 台座部分 2 mm程度が丁度良い塩梅だった。文字に合わせて台座部分の形を最適化すれば反りが克服できるかもしれないが、面倒なので今回は行わなかった。
お分かりだと思うが、文字を左右反転させることを忘れずに・・・。
スライサーの設定
スライサーでの設定でポイントは以下の通り。
1. 文字面を底面にする
反りや、ベッドへの定着を考えた場合、文字面を上にして出力しがちである。私も最初それで出力したが、ハンコを押した時に上面の微妙な凸凹が影響して非常に汚い文字となった。これを解決するには、出力後に文字面をヤスリ掛けする必要があるが、面倒なのとTPUはそもそもヤスリが掛からないので無理。
文字面を底面として出力することで、平滑な文字面とすることができる。
ただ文字面は底面積が小さいので端っこが最終的に反って浮き上がる・・・。精神衛生上非常に良くないが、反ることを許容して出力しても大丈夫だった。
2.サポートを付けない
文字から台座の順に出力するとオーバーハングが酷くてサポートを付けたくなるが、TPUはサポートが綺麗に取れないので諦める。TPUは柔軟性と粘着性があるので、これでも何とか出力してくれる。
3. 一層目の厚さとフィラメント量を調整する
基本設定では、定着面となる一層目はフィラメント量が多めに出るようになっていることが多い。ただ、今回の場合、一層目のフィラメント量が多くなると文字が潰れやすくなる。 私のケースでは、デフォルト設定で一層目積層厚さが0.27 mm → 0.20 mmとし、フィラメント押し出し量が109% → 100%に変更して出力してみた。結果を見る限りフィラメント押し出し量はもう少し少なくしても良いかもしれない。そんなに出力に時間がかからないので、トライ&エラーしてみる価値あり。
プリント時
基本設定
*積層厚さ: 0.18 mm
*ノズル: 0.4mm - 230°C, 冷却ファンON
ベッド: 60°C
印刷速度: 60 mm/s
ラフトなし
3Dプリンタでのポイントは以下の通り。
1. ベッドはできるだけ平滑な物を使う(私はガラス)
マスキングテープ地でも良いと思うが、少し厚さが変わると文字面が潰れたりするので要調整。
2. 反るけど見守る
どうしても台座の出力時に反って隅の部分が剥がれてくる。ただ、まん中部分がひっついてればズレはしないので最後まで見守る。 マスキングテープ地だと、定着力が上がるので反らないかもしれない。
以下にプリント後の様子を写したが、端っこが反って底面から外れていることが分かる・・・。
両面テープで別に出力した取っ手部分(PLA)と接着した。
まとめ
今回、3Dプリンタで初めて名前ハンコを作ってみたが、一回コツが分かれば今後も色々作れそうな気がした。 勿論、一行だけでなく様々な文字サイズを組み合わせたハンコも可能である。
一方で、細かい文字は苦手で、4 mm角程度の文字が限界である。小文字においてはノズル一筆書きになるので、文字太さはほぼ調整できないと思っておいた方がよさそう。
私は、5mm × 25 mm を1点だけモデリングし、スライサーの拡大機能でXY方向のみ150%, 200%と変更することで大きさを変えて3種類の名前ハンコを揃えた。Z方向だけは文字と台座の高さも変わってしまうので固定である。
もし、自分も作ってみたよっという方がいたらコメントくれたらちょっと嬉しい・・・。
以下、現時点(2024)でオススメの3Dプリンタ。